軽自動車2種で福祉車両乗り比べてみた(助手席編)
ざっくりですが、
ダイハツタントとニッサンデイズルークスとの、福祉車両について
利用した立場としてまとめてみました。
今回は、助手席が昇降するタイプでの比較です。
カン違い等もあるやも知れず、お気づきの点はまたお知らせいただけますと助かります。
ダイハツタントが2008年に『ウェルカムシート』を発売開始
してすぐに、この車を買いました。
利用者は、高齢で下半身完全に麻痺、何かにつかまって立ち上がる
のは可能だが、立っていられる時間は数秒のみ。
体重がややあるため、支えたりする介助者の負担が大きい。
その後、2018年春に車が故障、緒事情からやむを得ず、ニッサン
デイズルークスの『助手席スライドアップシート』付きのものに買い
替えました。
タントは2013年にはシートのモデルチェンジもしたようですが、
とりあえず2009年購入時のものと、2018年のルークスとの
シートの比較をしたいと思います。
ルークスのシート製造元はオーテック。
タントは覚えがなく、すみません。
修理の際、取り外したシートを栃木の別会社まで送らねば直せない、
と言われたので、ダイハツではないことはたぶん確かです。
そう、タントの時代、シートがらみの故障はけっこうありました。
最初の三年くらいは、シートに物を挟んで動かなくなってしまった
ことが5回以上。
シートベルトを巻きこんだり、後ろ側に買い物カゴを、
下のレールにお守り袋を、脱いだ上着のそでを……
自力で解決できなかったこと3回。うち1回は
完全にシートを取り外して、他所で修理してもらいました。
直ってくるまで車は運転できたのですが、2、3週間は助手席には
不思議ながらんとした空間があるのみでした。
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タント2009年 |
タント2013年 |
ルークス |
ピラー(前後間の柱)
|
ないので後部開けると広々 |
同左 |
あり |
リモコン |
あり |
あり ○シート上部に専用収納ポケット有 |
あり ○シート上部に収納ポケット有 |
他制御場所 |
シート下部にボタン有、乗った人が操作できる場合も |
同左 |
ドアにボタン有、乗った人は手が届かない場合が |
シート移動 |
○上下の他前後にも動く |
同左 |
×上下のみ |
前ドア開閉角度 |
90度以上 |
同左 |
同左 |
シート形状 |
・やや大きめ ・アームレストは折り畳み式で両側に |
?たぶん同左 |
・小さめ ・背もたれは普通の座席のように下から倒れる。 ・アームレストは折り畳み式で両側に |
シートベルト |
座席上部から出ている ×巻き戻りがしにくく、慣れないうちは移動するシートに挟まれやすく、故障の原因になりやすい |
座席上部から出ている ○車外に出たシートに乗った状態でシートベルト装着ができるので、移動時にも身体が固定される ×巻き戻りがしにくく、慣れないうちは移動するシートに挟まれやすく、故障の原因になりやすい |
車内の上部から出ている ○シート移動の際に挟まれにくい。 ×車内に完全に移動してからでないと、シートベルトは締められない |
機構部 |
複雑で、配線も見える。 ×重量がかなりあったようで、タイヤの片減りが目立つ ×車体が傾いている ×添付された工具でネジを回したら、ネジが千切れてしまった ×ものが挟まってもそのまま動いてしまい、完全に動かなくなることがあった。 |
多分同左だが、挟まり事故については不明(改良されているかも) |
タントに比べて単純 重量は不明だが、車体の傾きがあまり目立たないことから、タントよりは軽いと思われる ○障害物に触れると警告音が鳴って動きが止まる |
回転速度 |
やや遅い |
不明 |
やや速くなめらか |
後部シート |
助手席背後に出っ張りがあるため、助手席側の後部シートは通常のタントのように完全に平らにならない |
不明 |
タントと同じく、出っ張りがあるため完全に平らにならない |
エラー音 |
○エンジンが止まった状態でも、シートのエラー時には音が鳴る ×原因がすぐに取り除けない場合、エンジンが止まってもエラー音がずっと鳴っている |
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エンジンが止まると、シートのエラー音も止まる。(ただし、エンジンを止めた状態でシートを動かし、途中で椅子が止まるなど異常が発生した場合には、エンジンがかかっていない状態でエラー音が鳴り続ける) ×エンジンをかけている際に出た昇降シートのエラーについては、エンジンが止まると止んでしまうので、何のエラーか分かりにくい |
結論としては
・ダイハツタント(2009バージョン)は、利用者にとってはシートが大きく安定感があるただ、腰の部分がやや上から折れ曲がるため長時間座っていると腰が痛くなるらしい。
タント(公式サイトより)
ルークスにはこの持ちあがり部分がないため、普通の座席程度に背もたれを倒した時の違和感は少ない。
ルークス
ただし、ルークスの座席はやや小さく、車内に移動してからでないとシートベルトが装着できないので、身体が安定しない障害者にはやや不安がある。
タント(公式サイトより)
ルークス
ルークス
椅子を下ろしている最中。狭く見えるけど
たいがい、足は引っかからない。
(我が家の老人は太っているため、一度足先がドア下に
引っかかりましたが)
・タントのシート周りは、ピラーレスや開口部の広さ等で余裕があって、見守りがしやすい。
また、座席が上下だけでなく前後に動くため、利用者も足もとの広さを調正できるのが大きい(後部に座る人にもうれしい仕組み)。
・リモコンがない場合の操作ボタンが、タントは座席下についているため、利用者が操作できる場合があるが、ルークスはドアについているので利用者はほぼ、手が届かない。
※写真は公式サイトより
・タントのシートは機構部が複雑で、物がはさまりやすく故障しやすい。慣れないうちはシートベルトや小さなものを挟みこんで動かなくなる、という故障が多かった。
また、手動で動かせる専用工具も装備されていたが、力を入れてネジを回した時にネジが切れてしまい、使い物にならなかった。
・ルークスはその点、機構部がやや軽い作りで、動きが滑らか。しかも物が挟まる前に警告音が鳴ってシートの動きが止まるようになっている。
ルークス機構部を助手席後ろから前方に向かって
見たところ。昇降シートは完全に外に出た状態。
・タント2009は椅子が重く、タイヤの片減りが目立った。車両の傾きも目立つ。
・どちらも助手席後部は完全にフラットにたためず、自転車などを運びたい人は要注意。(婦人用一台くらいは乗せられるが、ハンドルの大きさ等で乗らない場合がある)
写真はどちらもルークスだが、タント2009も同じだった。
タント2013年バージョンは上記の点が改良されて
いるかも知れず、要確認です。
それぞれの仕様については、こちらをご覧いただけると
ある程度分かります。
結論を述べると
・タントの椅子は重症な方向け。やや重い感じ
・ルークスの椅子は障害の程度が比較的軽い方向け。
なのかなーと感じました。
公式の写真を比べると、ダイハツは介助者が
付いている&乗り手はややきゃしゃな高齢の女性で、
ニッサンはけっこうデカイ高齢の男性がひとりで
乗っているところからも、何となくコンセプトが
違うのかなあ、という気が(うっすらと)しました。
そして
できればどちらも買う前に実物をよく見て、
状況を想定して色々と動かしてみると良いかと。
うちは時間的に選択の余地がない買い物でしたが。
それと後のちに影響する点。
・多分どちらの車種も、シートが特注で、しかも車両自体もシートに合わせて作ってあるため、万が一シートを通常のものに戻したいと希望しても、無理なのでは、と。
タントを買った時に確認したのですが、車体助手席のレールが通常と異なるので、シートの付け替え(ウェルカムシートから通常のものへの変更は)できません、とのことでした。
あくまでも個人の感想も多く混ざっておりますが、何かのご参考になれば。